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韓流ドラマベートーベンウイルスSS

Little lovers~epilogue

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ルカとバイオレットの間に産まれた仔猫達は産まれてひと月を迎えた。
小さいながら活発に動き回る様子はいっぱしの猫である。
バイオレットは乳をやる時以外は、以前の彼女らしい奔放さを取り戻していた。
相変わらずルカにツレなくしたり、反して擦り寄ったりをするバイオレットに、ルカはすっかり慣れたものである。
ルカは育メンぶりを発揮して仔猫たちの世話に勤しむ毎日、仔猫たちの動きが気になって仕方ないようであるーーー

最初にトヤマによって名付けられたエテルナは父の漆黒の毛色を受け継いだメスで黒白のラグドール種
父のルカにそっくりな、濡れたような艶のある短毛でジャパニーズボブテールをしたオスの仔猫はvivo(ヴィーヴォ)~活発に、
バイオレットにそっくりなメスはdolce(ドルチェ)~甘く・柔らかく、
白い短毛に薄くチョコレートの毛色が混ざるオスの仔猫はamabile(アマービレ)~愛らしく…という名前がつけられた。
音楽家の夫人とパオラらしい、音楽に因んだ命名である。

ヴィーヴォは夫人が引き取り、ドルチェはパオラが、エテルナは名付け親のトヤマが引き取る事となった。
アマービレは近所に住む夫人の知人が引き取る事が既に決まっている。

あと数日後には、バイオレットの元から仔猫達が巣立っていくことになっていたーーー




「トヤマさん、今日引っ越してくるのよね?
それにしても、のんびりしすぎてない?
家財道具を運んできたって話も彼の口からは聞かないしね~」

「そうなんですよ!
ウチの真向かいなんだけど、荷物ひとつ運び込む気配はないし…
ハウスクリーニングの業者が来た形跡もなし。
彼に聞いても笑って、“秘密“」って答えるだけなんです。」

紅茶の入ったカップを持ち上げながら、パオラは苦笑をした。

「おばさま、エテルナの検査の結果はどうでした?
私も病院について行きたかったな~
なんか気になってしまって…昨日の仕事は散々な出来でしたもの。」
「… そうよねえ、、気持ちは分かるけれど、パオラはまだまだ演奏家として頑張らないと…
ああ、エテルナはやっぱり心臓の弁膜に異常があるんですって。
幸いおチビのわりには体力があるから、獣医さんも手術には耐えられるかもしれないっておっしゃってたわ。」

パオラに相槌をうち、夫人はつとめてサラリとエテルナの病状をパオラに告げた。

「そうですかーーやっぱり、、、
でも、手術で治るんですよね?
エテルナの手術費のために働かなくちゃ!
トヤマさんには… 」

夫人の家の玄関の呼び鈴が鳴り、夫人はドアを開ける。
そこには、和やかな表情で花束をふたつ抱えたトヤマの姿があった。
「まあーートヤマさん!
噂してたところよ。
今日はお引越し当日よね?」

部屋にパオラの姿を認め 視線を交わすと、トヤマは目尻を緩ませた。
「その話はあとで……

どうぞ、この花はレディーに感謝をこめてのプレゼントです。
アッカーマン夫人にはパオラもお世話になってますから…
おい、パオラ! 花を全部アッカーマン夫人にプレゼントしても かまわないな?」

パオラの笑顔を見てうなずいたトヤマは、つかつかと歩くとソファに座っていたパオラの手を引く。
「ちょっと来てくれないかな。
引っ越しの手伝いなんだけど、君が居ないと困るんだ。」

「もう……そういう事ですか!
早めに言っておいてくれたら… 」

トヤマは唇をとがらせて不服そうなパオラについては、まったく意に介していないようで、彼女の手を掴んだまま、夫人に向き直って頭を下げた。

「そういう事で、お話の途中ですがパオラをお借りします。
あとでまたお伺いしますので…あ、エテルナの検査の結果、メールありがとうございました! 」

竜巻のように慌ただしく去っていくトヤマとパオラの背中を見送り、夫人はホッと息をついた。

「お姫様を連れ去る王子みたいだったわね~
怪しい~なにかあるわよね? 」

夫人は足元にちょこんとすわる、チビルカ~ヴィーヴォの小さな頭を撫でると微笑んだーーー






「さあ~ 今日は忙しいぞ!

明日からは君と俺、仔猫のドルチェとエテルナ、それにバイオレットの大所帯になるからな!
君にも静かな時間は無くなるぞ。」

パオラはフィアットを運転しながら、トヤマの言葉を理解出来ずに怪訝そうに小首をひねる。
「どういうこと?
ヒデ…向かいの家に引っ越すって言ってたわよね? 」

「ああ… 事情が変わった。
昨日、アッカーマン夫人からエテルナの検査結果を聞くまえから、実は決めていたんだ。
君のそばにいたくてミュンヘンに引っ越そうと思ったが、エテルナの手術費用を稼がないといけなくなったからな。
向かいの家に引っ越すのはやめて、君の家に居候することに決めた。
今、ウイーンから届いた荷物が君の家の前に積まれてる頃だ。
家一件分の家賃はバカにならんからな。エテルナのために俺を家においてくれ。
そうだな… お礼にシェフが材料持ち込みで、とびきりのイタリアンをご馳走するよ。ご要望なら日本料理もね。
どうだ?いい条件だろ。」

「……… 嘘、、、、、、

勝手に決めて… ヒデの馬鹿、、、」

車を停めてサイドブレーキをキュッと引くと、パオラはつぶやく・・・
緊張した面持ちでパオラを見るトヤマのまえで、
頬をつねる仕草のあとーーー


「もうーーーっ、最高!

毎日ヒデといられるのね!
バイオレットたちとも、ずーっと一緒にいられる。
夢じゃないわよね?
ありがとう、ヒデ!だーいすき‼」

抱きついたパオラに、トヤマはやっとホッとしたように太い息をついた。

「パオラ… びっくりさせないでくれ。
君に断られたら俺の荷物の行き先は無くなっちまうんだからな。

ほら!急がないとマズいぞ。
運転手さん、フルスロットルで頼む。」

*・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・*


「ありがとう…助かった。」


トヤマの荷物は独身男性らしく極めて少なかったので、荷物の搬入はあっさりと三十分もかからずに終わった。

「パオラ…話があるんだ。

ちょっと来てくれないか?」

キッチンで作業をしていたパオラがソファーに座るトヤマの前に立つ。
「どうしたの? 」

「まあ、座ってくれ。

恥ずかしいが、俺の誓いを聞いてくれるか?
この前の靴は形のある賭けだったが、今回は形がない。
だから…君が無かった事にしてもなんの支障もないわけだ。


俺はパオラと出逢えて、初めて自分らしくいられるようになった。
どんな君でも、俺は受け入れ愛し抜く覚悟がある。

どんなに情けない俺も受け入れてくれると、迷いなく信じられる相手に、ようやく出逢えた。
俺はずっと…この時を待っていたような気がする。

昔は、そんな夢物語なことはあり得ないと、ただ冷笑していたんだ。
そんな夢物語が叶った、今の俺は幸せ者だとしみじみ思う。

こんな恋に出逢うチャンスは、俺には今後もう無い。
君の綺麗な瞳をのぞき込むたびに、そう俺は感じている。
君には俺の長年抱き続けてきた…すべての怖れを手放すことを、躊躇なく為せうる力がある。


君を誰にも渡したくない。

渡せない…他の誰にも。


パオラ・・・
愛している。
俺の気持ちが一年後まで変わらずにいたら・・・
そして君が俺と同じ気持ちでいてくれたら・・・


俺の家族になってくれるか?」


「……家族に? 」

震える声でたずねるパオラに、トヤマは深くうなずく。

「 そうだ… 俺がうろ覚えでしか知らない家族に…だ。
祖母が教えてくれた、、本当にそれを望む相手に出逢ったなら、怖がらずに突き進めとな。
だから・・・
インターバルは一年ある。
一年後君が今と変わらぬ気持ちだったら、俺の家族になってくれる?」

一度閉じたまぶたを勢いよく開き、トヤマは一気に言い切った。
左手で素早くパオラを抱き寄せたトヤマに、パオラの…胸の動悸が耳に聞こえるほどの高鳴りが伝わる。

「ヒデ……コレって、、、プロポーズ? 」

「ああ… そうとも言う。

俺にとっては壮大な賭けだが。
一年後まで、君が… 」

トヤマは耳元で囁くとパオラを膝の上に抱き上げる。

唇が重なり合い…トヤマの長い指がパオラのブロンドを愛おしげに撫でた・・・
「… ヒデ、、、もちろん答えはイエスよ。一年後も、、五年後も、、、

ずっと…ずーっと愛してる。」

トヤマのしなやかな指が、パオラの上衣をふわりと外した。
シャツごしの厚く締まった胸が、パオラの双丘に触れたとき、パオラは我を忘れたーーー





「ねえ、バイオレット…

ママは今日は現れそうにないわね。」

お腹が空いたのか…珍しくそばに来て夫人を見上げるバイオレットは、すでにアッカーマン家の住人のような堂々ぶりである。

「みーんな幸せそうで良かったわね。

隣のマエストロ・カンも、ミュンヘン・フィルの団員情報だと堂々とルミさんを連れて歩いていたようだし。
ルミさんも、三ヶ月前とはちがって見違えるように明るくなってたわ。」

夫人はバイオレットが待ち構えている、白身魚の缶詰めを開けながら独り言ちる。
「仔猫たちを見に来た時は可愛かったわね~
仔猫は目の前の人間の本性を見破ってしまうもの。ルミさんは心が綺麗で優しさがにじみ出ているのが分かったのね。ルミさんの周りに仔猫たちが集まって、ルミさんあちこち舐められてくすぐったがってた。」

「はい、お待たせ。
バイオレットは食いしん坊ね~ 」

皿を置くやいなや、喰いつくバイオレットをこの時ばかり!と夫人はバイオレットの背中をそっとなでる。
下手に触るとがぶりと噛みつかれかねないオテンバ娘が、食べている時はおとなしい…取り扱いに慣れたのもここ数ヶ月のバイオレットとの暮らしがもたらした変化である。

「もうすぐバイオレットとルカもお別れね… 仔猫たちもバラバラに暮らすのか・・・
楽しかったね、、、ありがとう。」

夫人は目尻ににじむ涙を拭い、息子・ルカの子供を残してくれた美しいラグドールを優しく見つめる。

違う家に別れるけれど、永遠に会えなくなるわけではないーーー
自分の心に、想いのあるところがあるなら、孤独ではないのだと・・・
トヤマがエテルナに託した想いは夫人にも深く残った。

【トヤマさんとパオラなら大丈夫。

きっと強さも脆さも抱きしめあって生きていける。】


夫人は仔猫たちとバイオレット、そしてルカが共に身を寄せ合う姿を、カメラに収めた写真を額に入れ、煙突掃除屋の描かれた額のあった場所に掛け替えた。

「ありがとうございました。

みんなの願いが叶ったわ。あなたのおかげかしら?」

煙突掃除の少年の描かれた額を、柔らかい布で感謝を込めて磨く・・・

喜びの涙で霞む目には、瞬きの間 煙突掃除屋の少年がウィンクしたように見えたーーー











LITTLE LOVERS(終わり)
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~ Comment ~

ありがとうございました

夫人が最後に額に写真を入れるシーン、ジーンときました。最後のプロポーズ、こんなかたちとは予想外です。居候トヤマ(笑) この物語が終わってしまうのはとってもさみしいです。トヤマとパオラのハッピー生活、覗き見たいですよ。続編、あるといいな。

Re: ありがとうございました

> 夫人が最後に額に写真を入れるシーン、ジーンときました。最後のプロポーズ、こんなかたちとは予想外です。

コメント、拍手をいただきありがとうございます。
ラストのシーンは、甘々の恋人達ではなく見守る立場に居てくれたアッカーマン夫人が主役でした。
様々な距離感で、不器用なふた組の恋人達を温かいまなざしで見守ってくれた夫人…ラストを書きながら私も少しうるっとしてしまいました。
たぶんに、「やっと終わったーーー」との開放感もありましたけれどね(^^;;


居候トヤマ(笑) この物語が終わってしまうのはとってもさみしいです。トヤマとパオラのハッピー生活、覗き見たいですよ。続編、あるといいな。

未来…二人が一緒に押して拓く未来には様々な事がありそうです。
いいことも、悪いことも。
でも、パオラとトヤマなら必ず乗り越えてくれると作者は信じています。
読者様の思い浮かべる未来が彼等の未来です。
よろしければ、私と同じように続きを描いてみてくださいね。
いただくコメントに励まされていました。
本当にありがとうございます。
管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。

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